僕と俺
- 感謝して理性確かめ軽蔑で本能に飲まれる僕でした
- 出る俺を自ら叩く俺が今仕事辞めたい俺叩く今
- 願いつつ祈りつつこの言の葉はオリーブの葉となりつつあって
- まばたきで始まる未来少しでも遠ざけるため開かずにいる
- 世のため人のため僕のためだった 歌集携え引き出しの中
- いつの日かすべての星が降る夜も結局君は見つからなそう
- 朝という仕組みの中に入れずに目覚めることも叶わない夢
- やまない雨にどこまでも広い傘は雲の上で開いた日傘
- 目的が手段に変わりこなれ感漂わせてた羊の群れは
- 朝焼けが発明された夜だけど夕焼けはまだ先のお話
- 夕暮れを2つくださいえぇ、今日と明後日の分ですまた来ます
- ひらりひらりとひかりに讃えられつつ落ち花びらは着地して亡骸
- 木々に囲まれ木偶坊と呼ばれた日々は遠い記憶いや昨日
- 君の涙は空へ向かって落ちるから傘をさして全部拾う
- まだあんなところに残る夕焼けは眩しくなくてとても見やすい
- 桜散っても梅残り道汚す花びらと空飾る花びら
- 田園の水面にたゆたう満月炊きたての月明かり食す日
- 開け放つ窓という窓すべてに降り注ぐ雨がありますように
- 青空の下ささやかな月明かりを頼る僕は夜が眩しい
- まぶしさは不完全なる遮光カーテン超え永遠じゃない眠り
- できるだけ夜を伸ばして朝焼けに焼かれ続ける夜を消せない
- 月光に日傘を差したこの夜も月の裏側を満たす日陰
- 夜風からあなたの声が聞こえたし眠ることとかが怖くなった
- 死にゆくを紡ぎ続ける食卓に色とりどりの惨殺死体
- はつなつに覗き込んでた紫陽花は落ちた涙の色になってた
- かすがいに交わる空の夕暮れと暁は言う もう疲れたと
- まばたきの周波数には程遠い寝ぼけ眼で見つめるまぶた
- なんどでもえいえんを見る窓割って翔び立つ僕の番の教室
- それなりの夜を過ごした君だからそれならぬ僕でもいいらしい
- 歌集将棋ピアノギターハンダゴテ転がる部屋でやることがない
- 晩春の寒き夜更けに眠りたくもマットレスから熱損失
- 光芒の膀胱を裂く美しさいわれてみれば地球の尿だ
- 窓隠すカーテンに隠された部屋解き放ちゆく窓の内側
- 枕もとにタオルをおく窓隠し透いた朝焼けを隠すため
- 青春の残火燻る水たまり夏の匂いに吐き気がしてた
- 不自然な自然公園駐車場に戻りながら木々は減りゆく
- 浸るべき虚妄は日々の平穏の中に生きてて夕時の龍
- 失われゆく頭髪よ今一度その対価を支払い給う
- インターネットの外側で会えるよ 傘がいる日になってしまった
- 月光が色褪せていく暁に夜の終わりを告げる人になる
- 雨風の風だけ残し止む雨にともに打たれたカエルと笑う
- 夕暮れを背に君のほうがまぶしい 雨風の雨だけ消えて風
- 楽しいなやるべきことをやらない時間初恋刈りのお姉さん
- 仕組まれた景色の中に君はいて第三者的スポットライト
- 開いたり閉じたりしつつ快楽に飲まれるゲームとしての悟り
- 友達がいないあの人が友達になれぬ理由とくになさそう
- ムクドリの夢にさえ城と玉座はありつつも座すことはないのだ
- 梅雨と夏始まるらぬまま消えてくれ傘も帽子も僕には重い
- 面影や夏日幻は揺蕩う光の向こうに潰れた光
- 雨漏りの向こう側には穴がありそこから覗く光が丸い
- 花束ははじめましてに挟まれて讃えられつつ人肌の雨
- 君からの手紙はいつも僕にだけ読める字だったりはしなかった
- 夜景見に夜の街へと繰り出して通り抜けたら向こうの山へ
- 夕暮れも夜空も壁を挟んでどうせPCよりも美しいのだろう
- 目で追った夜風はここにやってきて汗をさらって見えなくなった
- 足音が足早になり遠ざかり二人引き連れ帰ってくるな
- 人知れずいつまで居れることでしょう星屑のクズはゴミとは言わず
- そして失われゆくとは輝きだ瞳から漏れ出す光さえ
- 夕焼けを拾いそこねた僕だけに君が見せるポケットの朝焼け
- 夏空のせきらんうんにに名をつける良ければぼくの名を貰ってよ
- 散るを望まれ咲く桜舞い落ちるだけが楽しみですか?そうです。
- その空へ向かって落ちる涙とは浅い水面に立った写し絵
- 白昼夢から飛び立った幻は何度でも飛び立てる幻