さよならを待っています

明日は 満月 だと思いました
少し 満ち足りない 満月前夜でした
風が かき消して くれそうでしたから
待宵に 綺麗ですね と 独り言

あなたなら 聞こえて しまったり するのでしょうか

さよならを 待っている
待っているのだと 気づかずに
別れなき 別れに 
取り残されたのだと わからずに


すっかり 私 忘れて 今思い出して
昨日は 満月 だったと思いました
果てしない 自由に すっかりほだされて
十六夜に 遅かったね と 風の音

あなたは 覚えて いましたか 見えないものが
見えたりしましたか

さよならを 待っている
待っているのだと 気づかずに
顔もない 声もない
姿なき私は
知らず知らずに


上弦が 満ちるほど
私の 影が色づく
下弦を 剥がれ降りる
光が 私をすり抜ける

本当は怖かったんです 十五夜の月光
時間に 限りがあるのは 
私も同じ様です


月を待つ もう二度と
巡り 合うことはないでしょう
月を待つ 最後に一度
あなたの瞳に映ります
月を待つ 満月の夜
亡霊の私と出会いましょう

「久しいね 遅かったね
  月が 綺麗だね」

さよならを 待っています
待っているような顔に 見えますか