髭そりは痛い

顔を洗うと同時に髭に水を吸わせる。軽く水気を拭く。シェイビングソープの入ったカップの蓋を開けると、最初は固形だった石鹸はすっかり溶けてクリーム状になっている。ブラシを水に軽く濡らしカップの中のソープを泡立てるようにすくいとる。あまりとりすぎないようにブラシの毛先だけでクリームを取る。顔の上でさらに泡立てるように塗り付けていく。少し強めにブラシを動かしていく。なんども往復すると密度の濃いクリームが顔を白くする。ブラシは二回目の髭剃りのためにまだ洗わずに置いておく。髭剃りを手に取る。オールステンレスの髭剃りはすっかり水垢で汚れてしまっていた。重曹で落ちるかなと思いつつ、右のもみあげから下方へ滑らしてく。一週間以上伸ばしていた髭の抵抗力に合わせて力を入れていくと、チクチクと痛む。髭が固いとこうなる。熱々タオルで髭を蒸らして柔らかくした方がいいが、すこしめんどくさい。水を固く絞ったタオルを電子レンジで温めれば熱々タオルは作れる。文字通りアツアツなのでなかなか我慢がいるので、敬遠してしまう。髭が一本一本が剃られるたびに痛むので嫌になる。耐えながら進めていく。数センチ髭剃りを進めると、ひっくり返して反対の刃でまた剃る。一枚刃の両刃カミソリにたまった髭を洗い流し、さらに進める。いつもは夜の風呂場で剃っているが、今日は日の光が入る洗面台の大きな鏡のまえで剃っているので、剃り残しがよく見える。細かく剃り残しを剃っていき、一通り剃り終えたら顔を洗う。気分次第でもう一度ソープを塗りたくり二度目の剃りをする。髭が短くなっているので、二度目は髭の抵抗が少なく、痛みも少ないが、肌がヒリヒリする。ここも我慢し逆剃りをしていけば、もう少しだけきれいに剃れる。それでも髭は1mmほど残る。これはしょうがないが結構目立つ。これはどうしたものだろうかと思い始めて早十年。汚いまま来てしまった。それはさておき、もう一度顔を洗い、タオルでふき取り、化粧水をたっぷりと顔に吹き付ける。手で馴染ませたら、ニベアの青缶をすこしだけ取り、化粧水で伸ばしていく。青缶をつけるとヒリヒリ感が落ち着く。付け過ぎるとベタベタにテカるので少しだけでよい。16000円程したフェザーの両刃カミソリホルダーのかわりに電動シェーバーが欲しいと何度も思いながらも、今の髭剃りを極めようと思って、電動をあきらめてきた。しかし、今の髭剃りでは時間がかかるし、なにより痛い。電動にしたからと言って痛みがなくなるわけではないが、時間短縮にはなるはず。もうそろそろ買ってもいいかもしれない。髭剃りは痛い。