平和という病

「平和」という病~一国平和主義・集団的自衛権・憲法解釈の嘘を暴く~

「平和」という病~一国平和主義・集団的自衛権・憲法解釈の嘘を暴く~

  • 作者:樋口 恒晴
  • 発売日: 2014/10/10
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

戦争コンプレックスをこじらせた「平和主義」がいかに盲目的独善主義かを書いている。戦後防衛安全保障政策史をとなっており、安全保障政策の紆余曲折、現代の自衛隊観、憲法九条観の成り立ちがわかる。

 

戦後一貫した憲法九条の憲法解釈は無く、自衛隊吉田茂違憲としていたが、鳩山一郎は合憲とした。そして佐藤栄作は解釈変更し、ふたたび自衛隊の存在があやふやとなる。国際法との兼ね合いを無視し始め、国連との協調を拒否し始めた自閉的な憲法九条解釈がおこなわれ、自衛隊は法的観点からがんじがらめにされ、行動が制約されていく。


朝鮮戦争などによる極東の緊張により、アメリカの要請で拡張されていった自衛隊だが、次第にアメリカ軍の撤退や沖縄返還への内政向けの政治の道具とされていった。自閉した平和主義、軍事コンプレックス、対中友好路線により自衛隊の存在や安全保障はさらに軽んじられる。


本土からの米軍撤退の条件により、沖縄に基地機能は集約され、返還となった。
本土の人間の反米感情に政治的に答えた結果、沖縄の負担が増大した。
沖縄の基地負担の軽減は本土側に基地機能を移転しなければならず、本土の人間はそれを受け入れることはできるのか?


当時の日本の反米感情や反軍事感情は、アメリカに占領されていたことや、先の大戦での悲惨な結果をもってして生まれたのであろう。その内政的な理由により、日本がとる安全保障政策は左右され、そのことがアメリカに大きな不信感をもたらした。その結果、冷戦時のアメリカと中国の関係改善に寄与し、中国を甘やかしてしまった。これについては、今の日本と韓国にも同じ構造があるといえる。
今の日本の嫌韓は、当時のアメリカの嫌日
今の韓国の反日は、当時の日本の反米。

「子供叱るな来た道だ、老人笑うな行く道だ」
こんな感じじゃないだろうか。
韓国が北朝鮮に融和的なのも無理ないというのはさすがに関係ないので、冗談ということで。


アメリカに過度に依存した安全保障政策は、アメリカの支援を失ったときを想定できていない。
戦後一貫して日本の自立した国防は確立されていない。