つめたい怒り

あなたから孤独を奪うその人はあなたに何を与えるのだろう

たまたま私とすべて同じことをする人形 怒りがつめたい

夏木立 この世の全て 上がる雨 あーあと言って そっかと言われ

死にゆくを知りゆく中で亡霊の声が聞き取りやすくなってく

東雲の空から茜抜けてゆく夕暮れに刺さるまでの飛翔

ただただと美しいこと美しいと言うそれもまた美しいと

雨は雲のかけら雲は海のかけら海は星のかけら星が降る

雲行きがかなりあやしくなってゆくなのにどうして 細く射し込む

赤蜻蛉行手に多数立ち止まり秋と見紛う夏の夕暮れ

新しい街には新しい風が吹くいつもの街でいつもの風待つ

雨音は拍手喝采止めば止む大人になれて本当に良かった

声しずるままに歌えばさよならの速さでいつも死にそびれゆく

寂寥の夜または朝もしくは真昼いやいつもすこしさみしい

この百円にいつか泣くだろうけどそれはもう泣くしかないし 食む

生ビール経費で落ちる条件は酔っている間に詩を書くことだ

秋の始まりにいるのか夏の終わりにいるのかを決める半袖

空が反る直線の虹並行に進む太陽もう来ない朝

夜の最中の行けたら行くよそういえばなんか突然疲れてきたな

幻想は現実を知り役を終え記憶の檻で亡霊になる

木洩れ日が私の影を映す時初めて私は僕に気付く